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この冬、スピルバーグを負かした日本のアニメとは(4)

 映画の話で更新を続けております。
 今日は一家で3Dアニメ映画「friends もののけ島のナキ」(「泣いた赤鬼」が原作)を見に劇場へ。
 ……前々回の更新で、「3Dアニメでは日本はハリウッドに及ばない」とかきましたが、すいません。訂正します。
 日本の3Dもここまで来たかと驚く見事な仕上がりでした。
 ……考えてみれば、日本のTVゲームの3D映像は、どれも超・美麗。それを大量に作っている日本なんだから、その方面の技術がないわけがない。
 原作のヒロスケ童話は「ひとりぼっちの赤鬼と、村のみんなの中を取り持つために青鬼が悪者になって暴れる」ストーリーですが、青鬼が暴れるシーンで青鬼が変化するクリーチャーデザインがハリウッド並みの迫力。
 シナリオは、ヒロスケ童話に、斎藤 隆介さんの傑作童話「ソメコとオニ」を思わせつつ、「子供と心を通わせる化け物」のストーリーをもう一つの主軸として設置。
 メイン声優の山寺宏一アニキはベテランで安心して聞ける。さらに、主役の声優、スマップの香取慎吾さんがものすごく上手くて、本職かと耳を疑う。
 ……もともとこれ、少し前までなら人形劇芝居の映画とかでやる内容なんだよなあ。
 こういうふうに受け継がれていくのかぁ、とかなり感心。
 ……原作の悲しいラストと違って、青鬼さんにも救いがあってよかったよかった。

 さて、今日、映画を見に行くときに調べたら、「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」は上映回数がもう少なくなっているのに対し、『映画 「けいおん!」』は、朝の八時台から夜遅くまでびっしり上映して、相変わらず衰えない客の入りをしめしている。
 それもそのはず、『映画 「けいおん!」』には、ファンの心を掴んで、映画館に足を運ばせる「仕掛け」がある。
 それが、
 「映画を見た後、チケットの半券三枚で、撮影に使ったフィルムの数コマを一本プレゼント」
 というもの。うちも貰いました。こんなの。

 フィルムはこういう赤い封筒に入っていて、何が出るかは分からない。

 前作の京都アニメーション製作のアニメ映画「涼宮ハルヒの消失」のときには二枚で一本だったが、今回は三枚で一本。
 映画を見ると、こういうかんじの台紙をくれるので、

これにえんえんチケットの半券を貼って、三枚たまるごとにもっていく。
 ファンたちは三回見ては半券を貼ってドキドキしながらフィルムを引き替える。
 そして、自分の貰ったフィルムの画像をネットでアップしては、
 「ぎゃーっ、オレのフィルムはハズレだ、壁しか映ってねえよ、誰か慰めて……」
 「こりゃひでえ(笑)」「涙ふけよ」とか、
 「おっ、見てくれ、オレの、すごい神シーンだ!」
 「お前、今年事故るぞ」「十万出すからゆずれ!」
 「レアじゃねえか」「うらやましすぎる」「素手でフィルムさわるなよ!」
 ……などと報告し合って楽しんでいる。
  (六回見にいって二本フィルムをもらったら、二本ともキャラクターはおろか床にコードだけの数コマで、「お前の優勝」などと同情されてたファンがいた)
 フィルムはオークションにも出品されていて、すでに名場面は数万円以上の値段。
 さらには見終わったチケットの半券も、一枚数百円から千円で落札されている。
 自分で映画を見なくても、オークションでチケットの半券を落札して、台紙に貼って劇場に持っていけば、労せずしてフィルムゲット、というわけだ。
 もちろん、この企画をやる前提として、映画自体が何十回も見たくなるような出来でないとかなり苦しいが、そこは前回の更新で触れたように、とにかく映像が丁寧で、ストーリーに起伏がないぶん、スルメのように味が出るという意見もあるらしい。

 ……なお、この話を会員さんにすると、あちこちから
 「幸福の科学の映画でもそれやってほしい!」
 という声が聞かれた。
 宗教団体の作ったアニメのフィルムか。おお、なかなか御利益ありそうだ。
 それをやるなら、日本よりも、海外の信者さんやこどもたちに差し上げたほうが、ありがたがってくれそうな気もする。(だが悪魔だけが映るシーンを貰っても困るよなあ)

 ……以上、長くなったが、「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」と、『映画 「けいおん!」』を比べてみた。
 スピルバーグにアニメ勝負で勝った、日本の映画。

 『映画 「けいおん!」』を見に来たお客が求めているものは、 ハリウッドとスピルバーグになくて、『映画 「けいおん!」』にあるものなのだ。

 みなさん、何だと思われますか?
 諸説あると思うのだが、うちでは、この話題を、伴侶と話し合ったとき、まことに意外な結論が出て参りました。
 ……次回、まとめたいと思います。

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