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この冬、スピルバーグを負かした日本のアニメとは(3)

前回の続きの前に。
 いやー、昨日はすごい雪でしたね。
 「げっ、一晩でこんなに雪が積るものかっ!?」と叫び出したくなりましたな。
 うちはスノータイヤにまだ変えていなかったので死ぬかと思いました。
 みなさま、大丈夫でしたでしょうか。
 うちの前には、親の知らないうちに去年「かまくら支部」があった場所に、「ウルトラマンうさぎ」が降臨していました。


 地球を守ってくれるそうですので、雪難のお守りにとアップしてみました。

 ……では前回の続き。
 スピルバークのタンタンに対して、「映画けいおん」の内容を細かく見てみよう。

 この映画の内容はテレビ版の最終回、卒業式近くのエピソードの「裏話」。
 ……四人の女子高生が卒業を迎えるにあたって、今まで世話をやいてくれた後輩のため曲を作り、卒業式の日に演奏のプレゼントをする、というお話。
 先輩たちは後輩にばれないようにと事を運ぶため、後輩からのあらぬ誤解やちょっとしたドタバタがあり、曲作りの途中、卒業旅行で五人がロンドンに行くという話も入っているのだが……。

 物語に起伏がない。
 本っ当に、ない。

 スクリーンには、のんびりした百分間が、ただ穏やかに過ぎてゆく。

 ……そもそも、映画で一番大切な冒頭の「つかみ」が、一般の人を無視している。

 映画の最初は、主人公の女の子たちがハードロックを演奏していて、演奏後に「音楽性の違い」からいさかいを始める、という場面(予告編でも使われていた)。
 これは、じつは全部「ごっこ」遊びで、ハードな演奏はカセットテープに合わせて弾いているふりをしているだけ、ケンカも台詞を読んでいるだけ。
 その小芝居を後から来た後輩にすぐに見破られて、いつものふわふわした日常が始まる……というもの。

 このシーン、テレビを見ていたファンは「まーた他愛もないことやってるな-」と、ニヤニヤするのだが、はじめて見る人にわかったかどうか。
 ここの製作会社は、オタク向けに特化して、一般視聴者を無視した思い切った演出やシリーズ構成をしてきていた会社だ。
 ……いきなり「タンタン」とは正反対で、一般には敷居が高い。

 だが、そのアニメ映像は素晴らしい。
 ロンドンの空港と町並み、道行く人々の動きや表情、丁寧に書かれた背景美術は、大画面で眺めていると幾度も「ほーっ」とため息が出るように美しい。
 例えがあっているか自信がないが、タンタンがダイナミックな「西洋画」なら、こちらは「浮世絵」が江戸の町並みを細密画のように書き込んだ、その延長にあるような緻密さとでも言おうか。

 その世界の中で走り回る女子高生たちの動作や表情は、愛らしくよく動いて、彼女たちの感情や感傷がじっくり伝わってくる。
 加えて、バンドの演奏シーンはばっちりとカッコいい。楽器の演奏シーンをアニメで迫力を出して描くのには大変な技術がいるはずだが、この制作会社はその技術には定評がある。エンディングに流れるミュージックビデオ風も、本編とがらりと変わってスタイリッシュ。

 ……全体に、シナリオや一般向けの配慮はスピルバーグに全く及ばないものの、この映画を見れば、実に美しい日本アニメの職人技術の粋を堪能できる。
 ところどころ、細かく見るとその都度発見できる小ネタも仕込んであるので、「これはファンなら何度でも見たいだろう、うちでもDVD買うかな」
 ……と思いきや、この映画にはもう一つ、ファンの心を掴んで、映画館に足を運ばせる「仕掛け」がある。

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