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エル・カンターレ祭(2)

 壇上の真ん中を通って、総裁が現れると、二階席まで立ち上がっての拍手、拍手、拍手。
 拍手に応えて、正面だけでなく左右に向き直りながら、大きく手を振る大川総裁。
 こちら、遠い上の席からでも、壇上の深い茶色の背広に包まれた腕が動くのがよく見える。

 ……毎度の事ながら、日頃からモニターの中で講義を聴いている総裁を、こうして遠目から直に見ると、勝手に気分が盛り上がってしまって、反射的に上着を脱いで振り回して「うおおおおおっ、そうさいせんせえーっ!!!」と叫び出しそうになるが、誰も声を出さないのでここは黙って拍手する。
 
 拍手が収まってからの法話。
 三十分の法話の、半分を占めて語られるのは、海外巡錫の報告であった。

 ……幸福の科学、日本では二十年やっても無視されつづけているが、海外ではそれぞれ一度説法しただけで、面白いように理解されていく。
 仏教徒であろうと、カトリックであろうと、世界の人々は、幸福の科学の言わんとすることを理解している。
 初耳であり衝撃だったのは、スリランカの新聞が総裁の巡錫に関して、
 「小乗仏教の国スリランカではあるが、仏陀の再誕を認めたと言わざるをえない」という記事を載せたと言うことだった。

 こうして海外での戦果を語った理由として、まず、この法話は、海外中継で、数万人は下らない多種多様な国々の人々が見られるものであるということがあるだろう。
 当然、総裁が巡錫された土地で総裁に会った人々もこれを聞くわけである。
 その世界中で出会った人々への総裁の気持ちがあったはずであり、その人々の顔が脳裏に浮かんでおられたのではないかと思う。

 そして、同時に、「ああ、この戦果を、集まった日本の支持者の人々に、総裁自ら、もう一度直接、伝えたかったのだな」、と思う。
 今年のこの成果は、日本人としても、プロジェクトXあたりにとりあげられるような大きな成功なのである。
 小生などは、今年の三月、インドの巡錫の講演の映像の配信を見たときに、しばらく感無量で椅子から立ち上がれなかった覚えがある。
 ……やっとここまで来たか、という感激は、まだ昭和のころからずっとこの団体を支え続けてきた人々の夢が叶った瞬間の感激でもあった。
 そして、いよいよ総裁の本当の仕事が始まるのだという期待感。
 けれど、もっと早く世界の大舞台で演説させて差し上げたかった、という思い、さまざまな思いが去来して、指先まで痺れたようになって、正直、しばらく座席から動くことができなかった。
 多くの会員さんにとって、インドでの巡錫は、それほどの成功であり、戦果だったと思う。

 今年、そこから始まった九ヶ月の海外での活動に関して、総裁は、会員さんに直接、
 「あなたがたの信じているものは、あなたがたの想像を遥かに超えるものとなっているのだ」
 「それが、海外では実証されているよ」
 「頼むからもっと自信をお持ちなさいよ」
 と、そのことを、長らく苦楽をともにしてきた会員さんたちに、はげます意味で語られている印象を受けた。

 それに対して、際だつのが、日本人の宗教への不当なまでの取り扱いである。
 日本のマスコミの精神的な偏りはすさまじく、たとえば、政治に関しても、民主党がこれほど惨状を呈しているのを一つ一つ実例を上げて、野党が国会で批判しても、「いいがかり」「根拠のないデタラメ」と断じて、自分たちが公平だと思っている。
 同じように、これだけの海外での実績を幸福の科学が語っても、マスコミと、それに洗脳された国民は、単なる「宗教の宣伝」「自慢」としてスルーするだろう。
 そして、その自分たちの精神の、怖ろしいアンフェアさを、「宗教に騙されない、健全な常識」「公平な見方」だと自慢してはばからないだろう。

 そんな日本人に対して、コメントしたのち、法話は、霊魂と魂の実在と、四正道への獅子吼へつながっていく。

 今後、おそらくは来年の日本に関して、経済危機、震災、戦争の危機を、「ある程度予想されていること」と語る。

 後日、法話を聞いた会員さんの感想の中に、
 「……まだ、日本はこれではすまないわね」
 というものがあった。
 「だって、天災に見舞われても、日本人は誰もこれを『天意』だと思っていないじゃないの。
 東電が悪いとか、原発が悪いとか、自民党が悪いとか言って、自分たちの心の在り方を反省するなんて方向に行かないのよ。
 相変わらず民主党を支持して、
 これは、私たちにはまだまだ、天変地異が来るね」

 ……なるほど、そうであるならば、太平洋岸の天変地異のみならず、日本海側や、沖縄等には侵略の危機が、そして、全国に等しく経済不況が見舞うことになるのだろう。

 しかし、総裁は「この教えにおいて世界の人々の心を一つに結びつけ、平和と繁栄と神の栄光の元に置くことを誓う!」 と宣言した。
 会員さんへのメッセージは、
 「これから、日本がどのような堪忍辛苦に遭っても、この新しい教えが日本から起きたことを誇りに思い、ここを最終本拠地とすべく、各人努力されよ!」
 という趣旨ではなかったかと思う。

 ……おお、まだ日本を本拠地とされるのか、とちょっと驚いた。
 幸福の科学の今年の動きを見る限り、海外志向が強く、人材と資金は日本に依拠しているものの、海外の会員さんの信仰の強さは相当なもので、教団も優秀な若い人材をかなり海外に出し、サンガの組織の自由闊達さなどは日本よりずっと優れている印象を受けるので、「いつ、総裁は日本を出てもおかしくない」と、痛切に感じていたのである。

 だが、総裁は、まだ、この宗教性の限りなく低い、最も伝道が難しい国であるという日本をベースキャンプにして、そこに居を構え、守って下さるというのだ。
 日本人にとってこれほど助かることはあるまい。
 海外の皆さんには申し訳ない日本人へのメッセージで終わってしまったが、それだけ日本の状況が精神的にも物質的にも追い詰められて言っているとご甘受いただきたい。救い主は、この時代に、最も救うことが難しい人々の作り上げた都に降りたって、そこを拠点に戦おうとしているのだ。

 ……総裁の講演が終わると同時に、拍手もそこそこに席を立ち、帰りの新幹線に乗るべく、アリーナの外に駆け出すと、いささか雨が小降りになっていた中に、同じく駅を目指して早足で急ぐ人々が見えた。
 遠方からギリギリのスケジュールでかけつけてきて、このアリーナ席に総裁が送った熱と力を胸に、今日中に地方に帰らなければならない人々も多かっただろう。
 そうまでしてでも立ち会うことが幸福な三十分だった。

 願わくば、この人々がそれぞれの持ち場で良い武運にめぐまれますように。
 日本が2012年をしのぎきり、未来を拓くことができますように。

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