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五月十日、初の結党大会 (2)

 
 ……と、その前に、あえば直道さんについて、もう一つ、思い出があったので忘れぬうちに書いておく。

 あえばさん、凄腕伝説の一つである。

 1990年の前半に、あえばさんがまだ二十代だった頃、小生はとある支部のセミナーの講師で演壇に立つあえばさんを見たのを記憶している。

 その支部というのは、まあ、言葉は悪いが、ディケンズの小説に出てくる宗教的な俗物みたいな人たちがトップをとっていた。(なお、これは発足間もない幸福の科学、二十年前のことである。もうその当時のスタッフはいないと思うので、暴露をお許しいただきたい。)
 そのお歴々、やることなすこと官僚的なのである。
 なんでも、一番はじめに来た統括本部長が官僚的な行動が好きな人で、地元のリーダーもそう言う人を上に立ててしまい、それで伝統ができてしまって、職員も地元のリーダーも、官僚的な人々が主導で動き、地元の衆もそれが当たり前だと思っていたらしい。
 
 そう言う気風は、大川総裁の最も嫌うものの一つである。
 事実、その支部・本部の業績はいつも最下位であったようだが、官僚意識につかりこんだリーダー達はあまり意識していなかった。
 言ってみれば、「困ったちゃん」の本部・支部だったのである。

 そこへ一回限りのセミナーで饗庭さんが来るという。

 小生、伴侶のいくところどこにでもついていくことにしているが、退屈な講師の講義はちと苦手であった。
 しかし、くだんの支部にて、色男の職員どのがどんな話をするか、好奇心にかられて聞きにいった。

 演壇に立つあえばさんは、テレビうつりの良さをしのぐ男ぶりだ。
 そして、突然、講義の中で、こんな事を言った。

 「六大煩悩に支配された支部、というのがあります。
 例えば、幸福の科学で真理を学び、リーダーとなったことで「慢心」が生まれる。
 すると、実力以上に人やお金を集めたいと思う邪な「貪り」の心がうまれる。
 さらに、人が集まらない、実績が上がらないと怒る「瞋」の心も芽生える……」(小生、うろ覚えの要約)

 小生、感服した。
 ……できる。 
 なんと、この色男どのは、いちげんさんにも関わらず、その支部の問題点を、食事をしたり、待合室にいたりする数十分~二時間足らずであっさり見抜いてしまわれたのである。
 たいてい出張に来た講師は、当たり障りのないことを言い、支部のスタッフを褒め、教典の解説をして福々しい笑顔とともに帰っていくのに、である。

 ここの支部で、こんな話をした講師は、それまでおらず、その後もなかった。
 講義を聴いているあいだ、くだんの、「官僚型の人々」はぽかんとしていたようだった。何を言われたのかわからない、といった体だ。しかし、理解できなかったにも関わらず、法話の後で、彼らの空気が変わったのが感じられた。
  明らかに、官僚的で高圧的な印象が、リーダーから和らいでいたのである。

 二十代の若さで、そんなことに気づき、一度の法話で雰囲気を変える。
 たいしたものだ。

 ……と、その話をすると、「なあに、事前に、誰かから話を聞いていたのさ」、という人もいる。
 確かにそれはあるだろう。
 しかし、その条件は今までの講師や赴任してきた職員も同じはずだった。
その支部では、心ある人たちが、色々な講師や職員に直訴したという話を、小生は聞いたことがあった。
 だが、あえばさん以外、どの講師もその陳情を重んじようとしなかったのである。

 ……耳に入ってくる情報元で、「どれを重んずるべきか」、というのを正確に見抜く。
 あえばさんという人は、若いうちからそうした実力のある御仁だったわけである。

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