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2011-12

金正日・金正恩守護霊の霊言(2)「父殺しの暴露」という名の「情報爆弾」

 ……前回からの続きです。

 「父を殺した」という、金正恩の霊言。
 この霊言の発表は、新指導者にとって最も嫌なことではないかと思う。
なぜか。
 「父殺し」という罪は、東洋人にとって特別な悪人だと思われてきた。
 「尊属殺(そんぞくさつ)」、あるいは「尊属殺人罪(そんぞくさつじんざい)」という言葉を、ご存知の方も多いだろう。
 数十年前まで、日本では、自分、または配偶者の親を殺した場合、「尊属殺人罪」といわれ、普通の殺人罪とは区別されていた。
 そしてその刑罰は、普通の殺人罪より重く、
>通常の殺人罪では三年以上~無期の懲役、または死刑とされているのに対し、
>尊属殺人罪は無期懲役または死刑のみと、
 ……とされていた。
 日本では、現在、これは廃止されているが、韓国には、未だに非常によく似た法律があるという。
 (韓国刑法250条2項『自己又は配偶者の直系尊属を殺した者は、死刑又は無期若しくは7年以上の懲役に処する。』韓国刑法 )

 殺人罪の中でも、飛び抜けて深い罪が、「親殺し」であるという考え方は、儒教の思想から来ていると思われる。
 現在は形ばかりで、こんなモラルなど、崩壊しているような気もするのだが、今回の金正恩の守護霊の霊言では
 「金正日を殺したあと、二日がかりで関係者を全員殺してしまってから、父親の死亡を発表した」
 という話があった。
 ……むごい。
 単に、関係者に口封じして、「治療が及ばず病死した」ということもできたはずなのに、この徹底ぶり。
 これは、そこまでして、
 「新指導者は父殺し」
 という噂を立ててほしくなかったというように読めないだろうか。

 実際、ここで派手に「父殺し」の噂が立ったら、どんなことがおきるか。
 たとえば、今の北朝鮮の内情に関して、こんなニュースがあった。
【金正恩氏が激怒か、哀悼期間中の脱北者に「3代滅族」の厳罰=韓国 】
http://n.m.livedoor.com/f/c/6146762
【北朝鮮で金正恩を嘲笑する替え歌が流行?「コグマは愚かだ」】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=1028&f=national_1028_070.shtml
 ……ソースが、どちらもサーチナという日本の中国関連の情報発信会社で、いささか日本にとって甘い記事が多いので信憑性はどうかとは思ったのだが、あながちウソではないだろうと思う。
 3代目の残忍な性格がはっきりしてくるにつれ、不満は今後、高まりこそすれ、減ることはないだろう。
 「父殺し」の噂は、東洋人のもつ倫理観に深く訴えかけると同時に、北朝鮮の不満の内圧を高め、あるいはそこに火をつける導火線になりうる。
  ……噂が流れるだけでいい。
 疑念を色濃く持たせるだけでいい。
 それだけで、新指導者の求心力は、がた落ちになる。
 中国も、さすがに、「父殺し」にはいい顔をしないだろう。
 韓国は、新指導者に反発する大義名分ができる。
 在日の人々のショックは、言うまでもない。
 やがて、北朝鮮の内部で、海外の事情を知ることのできる立場の人々は、革命を起こすだろう。
 「父殺し」を討つのは、立派な正義の行使なのだ。
 大川総裁は、霊言という形で、その大義名分を革命派の人々に与えたことになる。

 ……こうして考えていくと、大川総裁の言う、「日本を守るための「知能戦」」とは、おそらく、「情報戦」であり、「プロパガンダ戦」を多く含んでいると考えられる。
 霊言によって情報をとり、相手の一番ダメージのある噂を強烈にばらまいたら、内部にどれだけのゆさぶりをかけることができるか。
 情報戦・プロパガンダ戦では、日本という国は大きく立ち後れており、北朝鮮や中国は、日米の中を割いて早く米軍を日本から追い出すために、沖縄や、あるいはアメリカに入って、思想的な活動をしている、という。
 だが、それを一人で逆転しようとする宗教家がここにいる。
 この霊言は、「反日の活動家」千人ぶん、いや、それ以上のインパクトをもつ、「情報の爆弾」と言えるのではないか。
 「情報の爆弾」の威力は、実際の爆弾以上よりもある意味、始末が悪いことがある。
 実際の爆弾は、それをくらったものを殺傷してその場で終わりだが、情報はそれをくらった人は、生きてその後ずっと、組織に対して悪影響を及ぼし続け、内側からその国を破壊するからだ。
 この霊言こそ、その役割を大きく担う、宗教家としてなしうる最高の「国防」ではないかと思われるのだ。

 (……もうちょっと続きます)

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